赤血球恒数(せっけっきゅうこうすう)、または赤血球指数(せっけっきゅうしすう)とは、貧血の種類や原因、状態を診断する一般血液検査です。赤血球数、ヘモグロビン量、ヘマトクリット値の3つの数値からMCV(平均赤血球容積)、MCH(平均赤血球血色素量)、MCHC(平均赤血球血色素濃度)を算出します。
赤血球恒数は、赤血球数、ヘモグロビン量、ヘマトクリット値の3つの検査数値を計算式にあてはめ、貧血の原因や種類を特定します。3つの数値はそれぞれ、MCV(平均赤血球容積)、MCH(平均赤血球血色素量)、MCHC(平均赤血球血色素濃度)です。これら3つの値から赤血球の大きさや濃度などの特徴を検査することで貧血の原因、種類を特定していきます。
MCV(平均赤血球容積)は赤血球の容積の平均値を算出したもので赤血球の大きさの目安となります。貧血はMCVの数値によって大きく小球性貧血、正球性貧血、大球性貧血に分類されます。
MCV(平均赤血球容積) = ヘマトクリット / 赤血球数
MCH(平均赤血球血色素量)は、赤血球に含まれるヘモグロビン量の平均を算出したものです。
MCH(平均赤血球血色素量) = ヘモグロビン量 / 赤血球数
MCHC(平均赤血球血色素濃度)は、赤血球容積に対するヘモグロビン量の割合を算出したものです。
MCHC(平均赤血球血色素濃度) = ヘモグロビン量 / ヘマトクリット
赤血球恒数の検査項目内容
区分 | 項目 | 略号 | 基準値 | 単位 |
---|---|---|---|---|
一般血液検査 血液 |
赤血球恒数 | MCV | 82.0~100.0 *機関A 80.0~100.0 *機関B 96.0~104.0(男性)、82.0~101.0(女性) *機関C |
fl (ヘムトリットル) |
MCH | 27.0~34.0 *機関A 26.0~34.0 *機関B |
pg (ピコグラム) | ||
MCHC | 29.0~36.0 *機関A 32.0~36.0 *機関B |
% |
上記の基準値は各恒数の基準値で、貧血を判定する為の基準値ではありません。数値が基準値内であっても貧血の種類を見分ける指標となります。
’※基準値は、検査機関などによって異なります。あくまで健康状態を維持すうための目安と考えておきましょう。
赤血球恒数の異常による可能性のある病気
MCVの判定 | MCHの判定 | MCHCの判定 | 可能性のある病気 |
---|---|---|---|
基準値 | 基準値 | 基準値 | 正球性貧血 溶血性貧血、再生不良性貧血、白血病、悪性腫瘍、二次性貧血(腎性貧血、感染症) |
低下 | 低下 | 低下 | 小球性貧血 鉄欠乏性貧血、鉄芽球性貧血、サラセミア、慢性炎症にともなう貧血 |
上昇 | 上昇 | 基準値 | 大球性貧血 悪性貧血(ビタミンB12欠乏性貧血など)、葉酸欠乏性貧血、肝障害性の貧血 |
赤血球恒数は、赤血球数、ヘモグロビン量、ヘマトクリット値の3つの検査数値を組み合わせて算出する貧血の原因や種類を特定します。MCV、MCH、MCHCともすべての恒数において、女性の方が男性に比べて数値が低い傾向にあります。
貧血のほとんどは体内の鉄分が不足して起こる鉄欠乏性貧血ですが、貧血の中には赤血球の破壊に赤血球の産生が追いつかない溶血性貧血や、骨髄機能の低下によって赤血球が十分につくられなくなる再生不良性貧血など診断や治療が難しいものもあります。長期的に貧血の症状が続く場合は、たかが貧血と軽く考えずに原因などを検査してもらいましょう。
貧血の原因や種類を特定する為、さらに血清鉄や総鉄飽和結合能などの検査を行うこともあります。