尿沈渣(にょうちんさ)とは、尿中に混入している固形成分を調べ腎臓・尿路(尿管、膀胱、尿道)の病気を診断する検査項目です。
尿沈渣は、採取した尿を遠心分離器にかけ沈殿した固形成分を顕微鏡で観察します。沈殿する固形成分には、赤血球、白血球、上皮細胞、結晶成分、円柱細胞(硝子(しょうし)円柱、顆粒円柱、脂肪円柱)、細菌、がん細胞など様々なものが含まれています。これらの固形成分がどのように含まれているかによって病気を予測していきます。
尿沈渣の検査項目内容
区分 | 項目 | 略号 | 基準値 |
---|---|---|---|
尿検査 腎臓、泌尿器 |
尿沈渣 | – | *尿沈渣の判定目安表を参照 |
※基準値は、検査機関などによって異なります。あくまで健康状態を維持すうための目安と考えておきましょう。
尿沈渣の判定目安
区分(成分) | 判定 | 判定目安 |
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赤血球 | 1視野に4個以下 | 異常なし |
白血球 | 1視野に4個以下 | |
上皮細胞 | 1視野に少量 | |
結晶成分 | 1視野に少量 | |
円柱細胞 | 陰性(-) ~ 疑陽性(±) |
※1視野とは顕微鏡を覗いたとき一度に見える範囲のことを言います。
尿沈渣の異常による可能性のある病気
検査結果 | 可能性のある病気 |
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赤血球の増加 | 腎結石、腎炎、膀胱炎、腫瘍 |
白血球の増加 | 腎盂腎炎(じんうじんえん)、膀胱炎、尿道炎 |
上皮細胞の増加 | 腎炎、膀胱炎、腎盂腎炎 |
結晶成分の増加 | 腎結石、急性肝炎、閉塞性黄疸、通風 |
円柱細胞の増加 | 腎炎、腎盂腎炎、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症 |
尿沈渣により以上が見られた場合は、再検査や他の腎機能検査(尿たんぱく、尿潜血)、精密検査が必要となります。