ヘマトクリット(英語: Hematocrit)、Ht(エイチティー)またはHCT(エイチシーティー)とは、血液中に含まれる血球(赤血球、白血球)の割合を測定する一般血液検査です。主に貧血の診断に役立つ検査項目です。
採血した血液を試験管などでに入れ放置しておくと、黄色い液体部分と赤い沈殿部分に分かれます。液体部分を血清と言い、ほとんどが水分で少量のたんぱくなどを含んでいます。沈殿部分には赤血球、白血球、血小板が含まれます。ヘマトクリットはこの沈殿部分に含まれる赤血球が血液中に占める割合を示します。ヘマトクリットは、採血した血液を自動血球測定器や遠心分離機を使って測定します。
一般的に、赤血球数が減少すると血液中に含まれる赤血球の割合を示すヘマトクリットと赤血球に含まれる色素のヘモグロビンの数値も比例して下がります。しかし、中にはこれら3つの数値が連動しない場合があるため、赤血球恒数を計算し貧血の種類や原因を調べる必要があります。
ヘマトクリットの検査項目内容
区分 | 項目 | 略号 | 男性の基準値 | 女性の基準値 | 単位 |
---|---|---|---|---|---|
血液検査 血液 |
ヘマトクリット | Ht,HCT | 40.0~55.0 *機関A 42.0~53.0 *機関B |
36.0~46.0 *機関A 37.0~47.0 *機関B |
% |
※基準値は、検査機関などによって異なります。あくまで健康状態を維持すうための目安と考えておきましょう。
採血した血液を遠心分離器にかけ血しょうと血球の容積割合を調べます。
ヘマトクリットは赤血球数と関連があるため、高値では多血症、低値では貧血などの病気が考えられます。 一般的に男性の方が女性よりも赤血球数が多い為、ヘマトクリットの数値も多い傾向にあります。女性は閉経後に貧血が軽減する場合があります。
加齢によって血液を生成する骨髄の機能が低下すると貧血を起こしやすくなります。その為、70歳以上ではヘモグロビンの検査の基準値を少し下げて判定する機関もあります。
ヘマトクリットの判定目安
区分 | 男性の判定 | 女性の判定 | 判定目安 |
---|---|---|---|
軽度上昇 | 55.1以上 | 46.1以上 | 要経過観察、または要精密検査、または要治療 |
基準値 | – | – | 異常なし |
軽・中度低下 | 12.0~12.9 | 10.0~11.3 | 要経過観察、または要精密検査、または要治療 |
脱水があって血が濃くなっている状態だとヘマトクリットの数値も上昇します。運動や喫煙、ストレスでも情報することがあります。
ヘマトクリットの異常による可能性のある病気
検査結果 | 可能性のある病気 |
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ヘマトクリットが高値 | 多血症(赤血球増加症)、脱水 |
ヘマトクリットが低値 | 貧血(鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血、悪性貧血、白血病、胃潰瘍・痔・がんなどによる出血) |
赤血球が不足し、鉄欠乏性貧血になるとヘマトクリットの数値も連動して低下します。この場合は、食生活を改善することでヘモグロビンがつくられ貧血の症状も改善します。ヘモグロビンをつくるのに欠かせない鉄分、ビタミンB12、葉酸をしっかりとって貧血状態に陥らないよう注意しましょう。
ヘマトクリットと関連のある検査項目